バブルとイカスミ

月、火と雨の予報だったが、日曜にあまり気温があがらずいったん傘マークが消えた。翌月曜になると次第に寒さが緩み、午後には雨が落ちてきた。夕方にはすっかり路面が濡れて、夜はしんしんと冷え込んだ。仕事柄、天気のことばかり気にしているので、体感温度や土臭さでだいたいのことはわかるようになってきた。
▼おおよそひと月もの間、これといった現場がなく、従って事務仕事のみの定時帰宅が続いている。現場が終わって帰社して事務処理をするとどうしても遅くなるが、どちらか一方なら楽なものだ。忙しくても忙しくなくても日がたつのは早い。瞬く間に一週間がすぎ、もう月半ば、気がつけば月末という具合である。そうやって一年が過ぎ、四年がたった。
▼ブログを再開してはや四年。この間ブクマがズラリと並ぶような面白いエントリがあったわけではない。従って超人気ブロガー女史のように、三年目に目立った変化もなかった。アクセス数を示すページビューは、一年目2万、二年目4万、三年目4万、四年目5万と横ばい。四年累計15万では女史の一日200万PVとは比ぶべくもない。
▼定期読者はほぼ固まったと見ていいだろう。一日多くて100PV。1アクセス5PVとして1日20アクセス。そのうち半数近くは僕と父と僕と僕と僕。偶然流れ着くサーファーもいるだろうから、純粋なフォロワーは10人にも満たないというみたては既に書いた通りだ。その中に自由人さんもいてくれると思えば少しは気が晴れるが。
▼日曜のみの現場が前回でキリになったので、この日曜は妻とスーパーの朝市に出かけた。最近は土曜夜のブックカフェと日曜の朝市が習慣になりつつある。いい習慣かどうかはわからない。夫婦いっしょだからいいと思う。その後、妻がいったんヨガ教室にでかけ、月謝をひっつかんで夕方電車で隣街の商業施設に。
▼ネット割引があるのにわざわざ店舗に出かける目的は実物を試着する以外にありえない。ところがお目当てのカウチンセーター(セーターのようなカーディガンのようなジャケットのような何か)が袖なしのものしか置いてない。仕方なくスマホからネットで購入しようとすると、今度は三色のうち妻の欲しい色だけ品切れ。神様が先回りして隠してくれているとしか思えない。ああ主よ、御心のままに!アーメン。
▼不満げな妻にそれとなく気分転換にディナーを勧める。妻の服がうまい具合にスペイン料理に化けた。





上から前菜、イカの墨煮、トルテリア(スパニッシュオムレツ)、ガーリックチキン、そして定番の魚貝のパエリア。
▼どれお美味しかったが、とりわけイカスミは絶品で、初体験の妻はすっかり上機嫌。お店の雰囲気もサービスもよく、これでフラメンコギターの生演奏付一人3400円はお得だろう。バブルがはじけて以来、ついぞ腰が抜けるような値段はお目にかからなくなった。政府も日銀も口を揃えてデフレ脱却と言うが、まさかあの時代の方がまっとうだなんて言うんじゃないでしょうね。
イカスミで思い出すのは、就職して上京してきた親友のお姉さんと食事をした時のことだ。どういういきさつか忘れたが、彼女は新社会人として学生の僕にご馳走するつもりだったにちがいない。大学何回生だったのだろう、当時もう十分に都会ズレしていた僕は、東京に不案内な彼女を小洒落たイタメシ屋に連れていき、イカスミパスタとシャンパンをたのんだのだ。
▼彼女の予想をはるかに超えるバブリーな金額に、結局支払は僕がすることになった。彼女にはずいぶん恥をかかせてしまったな。店を出て笑顔で別れると、彼女は僕に背を向け、肩を落とし、うなだれて、トボトボと駅に向かって歩いていった。その後姿をぼんやり見ているうちに、僕は自分の犯した過ちの重大さにようやく気づいたのだった。

昨日はカニカリフラワーサラダに茄子炒め。

今日は牛肉焼きにもやしサラダ。