洗脳されてる?

週初の寒気も緩んだ。三寒四温と言うが、二寒五温くらいの感じだ。木蓮が花をつけている。3月も半ばだ。季節は駆け足で通り過ぎてゆく。
▼なんとかブログの更新ができる程度には仕事も落ち着いてきた。といっても今日は午前様だけど。この土日で現場は峠を越える。次の土日で工事は打ち止め。来週から平日はひたすら完成書類と来期の見積の日々だ。試みに過去ログを繙くと、今年は例年より一週間収束が早い。それでもまるっと2ヶ月休めなかった。毎年のことながらよくやるよ。
▼昨日は下の子の合格発表。裁量枠なのでほぼ間違いないとはいえ、やはりホッとする。受験の日に「できた?」ときくと、ややあって「全部書いた」と答えた。それから「数学が難しかった。平均15点くらいじゃないかな?」と真顔で言う。自分ができないとみんなできないはずと思う幸せな頭の持ち主だが、実際にそうだとは限らない。
▼彼は中学で野球部だったが、駅伝で商業高校に進学する。同じ高校を受験する友だちの名前を妻からきいて、「○×も商業なの?」と言うところを「○×も小学生?」と言ってしまい、夫婦で大爆笑したが、その言いマチガイがどうしても直らない。昨日もいっしょに合格発表を見に行くという友だちの名前をきいて間違え、夜はスマホで合格記念の集合写真を見せられてまた間違えた。彼は僕の頭の中では商業というより小学生なのだ。
▼下の子はこの土日、晴れて進路が決まった野球部の仲間たちと、父兄ともども近くの温泉施設にお泊り保育、もとい、お別れ会だ。子供の部活、特に野球部は、試合のたびに打上げがあり、父兄の交流も盛んだったらしいが、ついに一度も参加せずじまいだった。その点では子供に寂しい想いをさせてしまったかもしれない。
▼そして来週の水曜には卒業式だ。僕が中高を過ごした地域では、この合格発表と卒業式の順番が逆だった。これは今でもそうらしい。妻が地元の友人と、受験期の子どもについてやりとりしていたから間違いない。発表の後で卒業式だと、落ちた人が出てきにくい、あるいは可哀想だからという理屈を当然のように思っていたが、そこまで気を遣う必要はないかもしれない。少なくともそうでない地域もあるのだから。
▼話は変わるが、ロシアのビザでクリミア入りし、またぞろ物議を醸している鳩山由紀夫元総理。弟の邦夫氏に「よく宇宙人と言われるが、日本人でなくなったことは確か」とまで言わしめた行動に世界が仰天した。しかし「クリミアの住民投票になんら圧力めいたものはない」というのは本当だろう。それは単にクリミアに住んでいるのがロシア人の方が多いというだけのことだ。
▼「日本人はアメリカに洗脳されている」という彼のコメントの真意はともかく、由紀夫氏も含めて国民全員が、日本はアメリカの同盟国である事実をもっと自覚した方がいい。つまりは戦争に負けた事実をだ。我々は国際関係において、あらゆる国に公平中立な立場にいるわけではない。日本はケンカに負けたアメリカの子分なのだ。それならアメリカとまだケンカしてる最中の中国やロシアやイスラム国の利害と対立するに決まってる。
イスラム国の人質殺害映像や世界遺産の破壊映像が、我々に嫌悪感を抱かせるのは何故だろう。それはこれらの映像が、我々の社会が隠そうとしている事実に触れるものだからだ。すなわち戦争とは、大量の人や物が無慈悲に殺戮され、破壊されるものだという事実。その意味では同じ映像でも、ボードリヤールに「湾岸戦争はなかった」と言わしめた、テレビゲームのように閃光が明滅するだけのニュース映像とは正反対のものだ。
▼映像だからバーチャルなのではない。映像には本来、人にリアリティを喚起する力がある。戦争は、アメリカが世界にそう信じさせたいように、無人機がロックオンした敵の軍事施設を静かに爆破する、音のない映像のようなものではない。イスラム国のビデオ映像と同じように、有志連合の空爆により、日々無辜の子供たちの頭が吹き飛び、瓦礫の下敷きになっている。
▼四回目の3.11を迎え、震災報道に接する機会も多い。しかし被災地で、あるいはフクシマで本当には何が起きているのか、テレビだけではよくわからない。現地に実際に行くのが一番だが、震災の映像をテレビではなくユーチューブで見るとどうだろう。私的なものが公になったとたん消えてしまうニオイのようなものがある。もしかするとテレビという公器ではなく、ビデオ映像のネット配信という方法にリアリティがあるのかもしれない。
▼目を背けたくなるような映像でないと、人の心は動かない。だが目を背けたくなるような映像でも、流され続ければ人は慣れる。だから悲惨さを強調するだけでは足りない。そこには生と死の両方が、コントラストが必要だ。死とはなんだろう。それは一人一人の人間からその人特有の私性が奪われることだ。それが一時に大量に起こるのが災害であり、それを国家の名の元に正当化するのが戦争である。

合格祝い。僕はゴルゴンゾーラのパスタ。子供たちはステーキ。

そしてとっておきのケーキ。