彼女がライバル

相変わらずはっきりしない天気だ。雨だと寒いが、晴れ間がのぞくと気温が上がって蒸し暑い。僕は平気だけど、こう気温差が激しいと作業する人がかわいそうだ。今週はずっと傘マーク。来週もくもり。たまに晴れてもすっかり日が短くなった。一抹のさみしさを感じる。
世界陸上が佳境である。黒人、なかんずくケニア勢のパワーが凄まじい。100や200の短距離で、前半はなんとか食らいついていた日本人が後半流した黒人に置いていかれるのはなぜ?積んでいるエンジンが違うとしかいいようがない。5.0の視力で100m先のブッシュに隠れた動物を見つけて槍を投げ、仕留めると同時にダッシュで回収する。まごまごしてると他の動物に獲物をさらわれてしまう。彼らのライバルはライオンやチータであって、人間、少なくとも日本人ではない。
▼男子200の決勝は、100に続いて残酷な結果になった。一番と二番の間に横たわる差はあまりにも大きく、けして埋まることはない。その差は子供のかけっこの速さと同じものだ。二番のこれまでの努力は、自分が一番になるためでなく、一番をより引き立てるためにあったようなものだ。才能とはそのくらい残酷なものである。しかしだからこそ、勝者の輝きがいやますのだ。
▼僕も小学校くらいまでは足が速い方だった。でも常に、けして一番にはなれなかった。大人になった今思えば、それが才能(生まれつき)というものだと思う。それでもそこまで絶望しなかったのは、それが日本の戦後教育だったからだ。僕がそれほど悲嘆に暮れずにすんだかわりに、僕より足の速いライバルたちも、その後の人生でそれほど輝くことはなかっただろう。繰り返すが、それが日本の教育である。
▼さて、僕がひそかにフォローしていた某地方公務員女子の東京出向ブログに動きがあった。足かけ四年にわたる東京生活の最終盤の日々を一気にアップし、多少勇み足気味に新年度一日目まで更新している。半分あきらめかけていたが、引き続き地方公務員日記を継続してくれそうでうれしい限りだ。やはり怒涛の忙しさにとてもブログどころではなかったようだ。察するに、お盆休みに更新したのだろう。
▼彼女自身「本社」とか「社長」と「」つきで書いているだけに、それが「本庁」や「事務次官」であるのは明らかだ。しかし地方公務員てそんなに忙しいのかな。彼女のブログに描かれていた「早くて終電、週の半分はタクシーで朝帰り」という霞ヶ関の出向生活は、ほとんど我々がキャリア官僚のそれとして想像しているものだ。「忙しくて」異動から今まで更新できなかったとすれば、地元に戻っても同様の生活が続いているということになる。「国会」が「地方議会」になっただけで、やることは変わらないということか。
▼僕も今月は14日に一日休んだだけで、次は1日に休めるかどうか微妙なところ。現場が終わって会社に戻って事務処理するので8時9時は当たり前。大型物件の着工前や竣工後、見積が重なった時などは午前様になる時もある。昨日も夜の8時頃友人から電話があって「まだ会社」と言うと「すごいね」と言われた。彼は夏休みに奥さんと自分の実家の両方を回って、明日はまた家族で一泊旅行だそうだ。僕は彼よりは働いているが、彼女よりは全然働いていない自信がある。
▼彼女はいくつくらいの人だろう。出向期間だけでも丸四年。新卒ですぐ本庁に出向ということはないだろうから30は超えているだろう。かなり大きい姪っ子がいて、海外留学経験があり、通訳をしていた時期もあるようだから、中途採用の30代半ばというところか。僕も結婚直後、安定を求めて彼女と同じ政令市の行政職(上級)を受けたことは書いた。でも彼女のような人材がライバルなら受かりっこないな。
▼かなうことなら帰省した折にオフ会(なんの?)でいっしょに飲みたいものだ。ああ、大好きだった地元のマスターの店がやってたらなあ。じき一周忌だ。

水曜は豚肉とナスとピーマン炒めに夏野菜サラダ。木曜はヨガカレー。