マイワイフ、マイライフ

今日から11月。今年も残すところあと2か月。早いものだ。天気は下り坂。明日は久しぶりの雨になりそうだ。冷たい雨になるだろう。
日本シリーズソフトバンクの圧勝で幕を閉じた。4番内川を欠き3番柳田が絶不調のホークス相手にスワローズもよく戦ったが、山田一人じゃいかんともしがたい。せめてバレンティンが本調子で相手がロッテだったなら…。そう、セリーグはどこが出ても日ハムにも勝てない。その日ハムにソフトバンクはレギュラーシーズンで10ゲームの差をつけた。結果は火を見るより明らかだ。
▼相変わらずの日曜出勤である。昨日が3物件、今日が2物件。来週はこれが倍になる。本番はまだ先なのに今からこんなんで大丈夫だろうか。おまけに事務処理もたまる一方。少しずつ、だが着実に追い詰められている。しょうがないなあ。一生に一度くらい仕事するか。
▼安保法案成立、TPP交渉妥結、マイナンバー制度導入と、ひと昔前なら考えられなかった懸案を続々更新し、平成の名宰相の名をほしいままにするアベ総理。外遊から戻るや今度は三年ぶりの日中韓三か国首脳会議と息つく暇もない。まあ三年という空白は、彼が首相になってからの時間とイコールだから自らまいた種ではあるが。
▼安保法制とTPPについては折にふれて感想を述べてきた。今回はマイナンバー制度について。かなり以前に議論された際、「国民総背番号制」のレッテルを貼られ大バッシングを受けた記憶があるが、いったいいつ、どのような経緯で復活の運びとなったのだろう。マスコミの反応も、個人情報漏えいと詐欺の話ばかりで以前と違う印象を受ける。
▼国が導入するさまざまな制度の中には、安保や増税規制緩和など、国民に猛反発をくらう種類のものがいくつかある。アベ政権になって重要政治課題が軒並み成立する背景には、政府がうまくやっているというより、国民の側にそういった生理的拒絶反応が減ってきているような気がするのは僕だけだろうか。
▼「管理社会」とか「軍国主義復活」とかトンチンカンな主張が鳴りを潜めた代わりに、老成した僕たちはますます物分かりがよくなってゆく。唯一の関心事は老後の蓄え。長い余生をどうやって暮らしていくか。傾きが問題になるずっと以前から、多くの人にとってあらゆる会合のうち最も重要なのは、居住するマンションの管理組合の会合だ。
▼我々はどこに向かっているのだろう。マイナンバー制度も便利ならOK。ただし損さえしなければ。国が推し進める社会の合理化、効率化の波にあいまって、我々のノーリスクマインドも極限まで達した。今や究極のエコ社会ならぬエゴ社会が到来しようとしている。利便性は文句ない。ただおもしろいおもしろくないでいえば、そんな世の中おもしろくないに決まってる。
▼肺炎で入院したお義父さんの回復が思わしくなく、転院を機に妻が実家に帰った。病院に行って顔を見て、少し落ち着いて電話をかけてきた妻に、僕の両親にも伝えたと話すと烈火のごとく怒る。「常識がない。うちも誰にも言ってないんだよ。見舞いなんて絶対やめてよ。本人がびっくりするじゃない。私だって泣きそうなの我慢したんだから」
▼気がつかなかった。たしかに妻の言う通りだ。言う通りなだけでなく、彼女には実際に涙を堪えるだけの芯の強さがある。たぶん僕が同じ立場なら我慢することはできないだろう。よくいえばやさしいのかもしれないが、相手のことを考えているわけではなくて、単に自分の感情に流されているだけである。みっともない。
▼せっかく気がついても実際にできなければ仕方ない。神さまはよくしたもんで、そういう人間には最初から気が回らないように作ってある。気丈な妻と情けない夫。マイナンバーにはそこまで登録されるわけではないだろう。人生のおもしろさはほとんどその部分にある。そんなこんなの妻不在の合宿中で写真なし。