ノンタイトル

12月も半ばだというのにまるで初秋の気候である。車中は窓をあけないと暑い。ちょっと歩けば汗が出る。明日から寒気が入るというが、冬の寒さも忘れてしまった。
▼相変わらず怒涛の勢いで月日が流れてゆく。抗うにはあまりに速すぎて、ただ流されるに身を任せている。さて、どこにたどり着くのやら。11月からの二つ目の長期現場にも専任の監督が派遣され、日中動けるのがせめてもの救いだ。打合せや事務処理に専念できる。でなきゃ毎日午前様だ。
▼プライベートは下の子との合宿生活の真っただ中。土曜からの合宿中、今回は不思議とまだ一度もいっしょに外食していない。それなのに二人して別々に判で押したように近所のスーパーでお惣菜を買ってきて食べている。そういう気分的なところまで、僕らは瓜二つの親子だ。
▼土曜は8現場を駆けずり回ってさすがに疲労困憊し、8時過ぎに就寝。日曜はその反動でなかなか寝付けず、そのうち仕事が気になってとうとう一睡もできなかった。それなのにみんなから「よく平気だね。オレなら眠れん」と言われる僕って何?月曜はその反動でまた8時過ぎに就寝。そして火曜は夜更かしの繰り返し。テレビ大好きの僕も車中のワンセグで見るのが精いっぱいだ。
▼日曜サンデーモーニングの名物コーナー張本勲氏の相方は平成の三四郎こと古賀稔。先ごろ東京で行われた柔道グランドスラムの戦評。司会の関口が「女子も一時期心配だったけどもう大丈夫?」と水を向けると、古賀は「ルールもしっかり組んで投げる日本人有利になってますから(大丈夫)」と返す。少し前の女子の心配といえばあれしかないだろう。テレビを見ていた百人が百人ピンときたはずだ。この男、よほど鈍感なのか単なる柔道バカか。
▼今一番の楽しみは、NHK朝ドラ「あさが来た」が偶然流れてくること。ダメンズと楽しく暮らす女傑が主人公だ。波瑠かわいい。やはりダメンズの夫を支える聡明な姉役の宮崎あおいと共に、これぞまさしく妻と結婚して以来の僕の世界観そのものだ。ご一新の昔からそうだった。性別も学歴も職業も関係ない。世の中には優秀な人間と、その他大勢の馬の骨がいるだけだ。そして優秀な人は、ただ見ているだけで周りの人の心を明るくする。だから自然と人が寄ってくる。
▼読書欲も低調。時間がないのでまとまった分量のものを読む気がしない。たまたまコンビニで雑誌「ブルータス」が目にとまり、小説特集だったのでどうしようか迷った末買うことにした。レジで店員が「650円です」というのに驚いた。雑誌ってそんなにしたっけ。うちで缶ビール(第三、糖質オフ)を飲みながらパラパラとめくる。
▼数人の著名人(でもないか)にマイベストをあげさせる。この辺の人選がミソなのかもしれない。対談が一組。テーマ別にカリスマ書店員のおススメ本。なんてことない企画だ。小説特集ならこんなものだろう。僕も画期的なものは思いつかない。ブルータス自体マンネリのダイエット特集ばかりやっている。四半世紀前にエロ本を作っていたのが夢のようだ。東京にとどまって、こうしてチマチマと前世紀のメディアたる雑誌を作る選択もあった。たぶん結婚もしていないだろう。でも誰のものでもない自分の人生だという気はする。
▼妻と上の子から代わる代わる報告がある。お義母さんが思いのほか元気そうだったこと。これは娘が帰ってきたからだろう。四十九日は滞りなく終わったようだ。お義母さんが欠席する中、お義父さんの兄弟と妻と上の子の五人だけで、妻の友人がいる割烹で話が弾んだらしい。お義父さんもしばし羽を伸ばしていることだろう。それからうちの両親のこと。話の端々から二人の様子が手にとるようにわかる。
▼合宿中でしばらく写真なし。