救いの声

梅雨も只中である。週間予報にずらりと傘マークが並ぶ。天気が一日ともたない。九州の豪雨には比ぶべくもないが、こちらも降れば土砂降りだ。そしてあがれば即真夏日である。もうすっかり梅雨明け前の風情だ。例年より2週は早い。オリンピックイヤーの夏は暑くなるならいだ。
▼さて、夏至の日に参院選が公示された。選挙の夏もこれまた暑い。今年は暑くなる要素ばっかりだな。今回もアベチャンは選挙の前に消費税を据え置いて経済対策をぶちあげ、選挙が終われば経済そっちのけで憲法改正に邁進する作戦のようだ。あまりに姑息なやり方に驚く。こんな男についていく国民も国民だ。日本人は自分の景気さえよければあとのことはどうでもいいエゴイストばかりだ。
▼何も日本人に限ったことじゃない。米大統領選のトランプ旋風。そして今日、たった今決定したイギリスのEU離脱。世界中でむき出しのエゴを隠そうともしない態度が目立つ。貧すれば鈍す。もはや誰にも理想を語る余裕はない。みんな背に腹は代えられないのだ。ウォール街デモに参加する人々を評して超人気ブロガー女史は「先進国既得権」を失いつつある層と指摘したが、これらもこうした一連の流れの表れなのだろう。
地政学的に見てみよう。イギリスのEU離脱派に限らずヨーロッパの右派、孤立主義勢力は軒並み移民排斥を主張する。トランプもまたメキシコとの国境に壁を建設すると言って人気を得た。翻って昨今日本で急激に増長した中国脅威論も同じ心理に基づいている。共通して脅威に晒されているのは自らの「先進国既得権」なのだ。自分たちだけがいつまでもおいしい思いをしていたい気持ちはわかる。ただ全ての人間に幸福を追求するその同じ権利があることを忘れてはならない。
▼さて、参院選の話に戻ろう。公示前に記者クラブやネット、各局主催で行われた党首討論。今回は9党首揃い踏みということだったが、見ていてどうも腑に落ちない。「絶対あげると言ってあげないんだから説明がないといけない」野党第一党党首オカチャンの質問に「ですからそれは新しい判断をお示ししたわけでありまして…」答えるアベチャンの目は泳ぎ挙動はそわそわと落ち着きがない。
▼「各国首脳が共通の認識を得た、それが共同声明ですから」いつでも冷静沈着な連立与党のナッチャンが助け舟を出すも支えきれない。と、唐突に昭和ノスタルジックな丸眼鏡の小男が援護射撃をする。「アベノミクスの果実、これは間違いなく実をつけている。これを大きく育てるのが我々の…」続いてとても可愛らしい声のオバサンがゆっくりと優雅にお話しされる。「経済が大きくならないと税収はのびません」
新党改革日本のこころを大切にする党、おおさか維新の会。日本に特徴的な小党乱立は、マイノリティの受け皿でもなんでもない。これらの党はそれぞれ何人いるか知らないが、全て自民党の別動隊だ。彼らがいなければ、いくら巨大与党とはいえ、党首討論に限っていえば2対4の劣勢である。それがいつの間にか5対4で形勢逆転している。まさに分身の術というか、何かタチの悪いマジックを見せられているようだ。
▼そして慰霊の日に沖縄入りしたアベチャンは、あれだけ否定的だった地位協定の見直しに一転積極的になり始めた。おそらく軍属の扱いについて米側と折り合いがついたのだろう。ここでもまた友軍の強烈な援護射撃である。ここまで自らの為にする政治家も見たことがない。しかしネットのコメントなどはアベチャン(自民党)の味方が大勢なのだ。現在の政治状況は我々自身が作り出したものだ。公益のためなら多少の不利益は仕方がないという共通の理念が世界から消え去ろうとしている時代に相応しい政権ではないか。
▼今週はずっと現場があって落ち着かなかった。移動中は歌姫エディト・マティスカンタータを聴いて気分転換だ。学生の頃熱中したソプラノ歌手である。オペラ歌手といえば普通グラマラスなスタイルを思い浮かべるが、彼女は細身の日本人好み。きれいな高音と、その華奢な体躯とオペラ歌手に必要とされるギリギリの声量のバランスにはまった。例えるなら品よく静かにしゃべりながら聞き取りやすいNHK女子アナのよう。ちょっと前の高橋美鈴アナや今なら桑子真帆アナあたりか。何の話だっけ?
▼明日帰省する妻のウチゴハンラストスパート。
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月曜はナスとズッキーニの牛肉炒めにズリラー(砂肝と胡瓜の酢漬け)。

火曜は野菜シャブにもやしサラダ。

水曜はナスとトマトの冷製にチキンピカタ。