どっちもどっち

早いものでもう9月。相変わらず暑い。平均気温は33度。夏でしょ。ホント焼けるような暑さだ。台風のコースも西回りでようやく夏らしくなってきた。週末から来週にかけて気をつけないと。これからが夏本番だ。
▼最近、来年度の概算要求に文科省が給付型奨学金制度の創設を明記したというニュースを目にした。予算規模や財源などはこれからだという。欧米等ではめずらしくない制度だが、日本にはこれまで貸与型しかなかった。奨学金というと聞こえはいいが、返さなければならない、それも利子がつくとなれば実際は借金である。家計に余裕がない家庭の子供が奨学金を利用する場合、社会人スタート時点で借金のハンデを負うと指摘されてきた。
▼先日のクロ現+の「増える奨学金破産」を見たときに感じた小さな違和感が、そのタイムリーさも手伝ってまた大きくなった。この議論は今に始まったことではないが、論調的には「欧米で普通の制度がなぜ日本にないのか」「教育の機会は平等に保障されるべき」というものが大勢だと思う。クロ現+でも学費と生活費の負担に苦しむ学生のVを見た尾木ママが「ひどすぎますぅ。ここはどこ?日本?ウフ♡」と嘆いていた。
▼経済的な理由で親の援助がない場合①バイトで生活費(または学費)を稼ぐ必要があり、学生生活そのものが苦しいものになる。②そのため学業との両立が難しく、留年や休学、中退に陥りやすい。③中退すると就職が難しくなり、奨学金返済計画の前提が崩れ借金だけが残る。①②③は別々のことではないが、クロ現のⅤではそれぞれに対応する三種類の(元)学生が紹介されていた。
▼一人目は親の年収が300万(珍しくはない)の三人兄弟の長男。当然援助はなく4年分の学費と生活費は全てバイトと奨学金で賄われている。住まいは家賃2万のロフトのような空間で、キッチンが狭くコンロをシンクの上の棚に置いて脚立に乗って調理している。これから鉄道夜勤の徹夜のバイトにでかけるところで、一時学内に野宿いしていたこともあるという。そのような状況では卒業に必要な単位の取得がままならないのも当然である。
▼解せないのは奨学金とバイトを収入としてくくり、学費と生活費を支出としてひとくくりにして内訳を月単位で示していたことだ。例えば学費10万に奨学金の8万とバイト2万をあて…という具合。同じⅤに奨学金480万の借入証書が映っていたが、普通はまとまった額になる学費を一括で奨学金で賄い、生活費はバイトでやりくりするというのがセオリーだ。そうでないと払えるものも払えなくなる。そもそも奨学金を学費以外に使える仕組みになっていることがおかしい。これではフリーローンと同じだ。
▼2例目の女子学生は、そのような生活を繰り返した末に身体を壊して休学し、今また卒業を目指して限度額いっぱいの1200万まで借りたところ。正直無担保でそこまで借りれることに驚く。奨学金破産が問題というが、貸し出す時点で破たんは目に見えている。3例目の女子は在学中に親の会社が倒産して中退。28になる今もバイト生活から抜け出せず将来の展望が描けない。中退は高卒より不利になるので大学に行ったこと自体を隠さなければならない。
▼自分も私大を中退し、親として子供を私大にやろうとした経験からいうと、4年間親元を離れて私大に通う経費は、生活費が月10万×12ヶ月×4年の500万、学費が年80万×4年+入学金その他の4年で計1000万弱だ。これを学生が一人で全額負担し、なおかつ学業と両立するのは確かに無理がある。しかしどちらか半分なら十分可能だ。そういう例は僕の周りにもいくらでもいた。僕らより上の世代なら苦学生の方が普通だろう。でも不思議に奨学金の話はあまりきかなかった。
▼もちろん国公立なら学費は半分以下、親元から通えば生活費はかからない。学業だけが目的なら、他にもいろいろやり方はあるだろう。単純に彼らのやりくりの仕方もマズイところがある。だから彼らにはまた別の目的があるのだ。人は何かの欠落を何かで埋めるしかない。こういってはなんだが、彼らは借金のある人生の方が親和性がある人たちだ。言い換えれば借金体質なのである。学業のためにお金が必要というより借金しながら苦学したい。彼らは苦学生という青春を生きている。要するにさみしいのだ。
▼社会は本来このような人たちを借金の魔の手から守ることに力を注がなければならないはずだが、実際は逆である。国も銀行も、あらゆる存在を迂回して企業にお金を回したくてしょうがないからだ。長く導入が待たれた今回の給付型奨学金も、子宮筋腫予防接種の無償化、義務化に奔走した某国会議員の夫が、その予防接種を生産する製薬会社の顧問弁護士だった事例と似たようなものだ。
少子高齢化大学全入時代に、数多ある大学のほとんどは名前を書けば入れる実質無試験の私大である。これらの学校法人にとって、学生は単に金を持ってくる存在以外のものではない。これまでの貸与型奨学金も実態はサブプライムローンだったが、給付型奨学金はこれら有象無象の学校法人の延命のための国による迂回融資だ。





月曜ナムル、冷奴、チキンマヨ、ワカメの酢の物。火曜ポークソテーに芋サラダ。水曜夏野菜と手羽先のオーブン焼きに冷しゃぶサラダ。木曜残業で遅くなりセブンのデザートのみ。金曜ナス炒めにアボガドサラダ。1週間が早い。